データ分析メモと北欧生活

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【読書】留学前に読んでおくといいかもしれない『この日本語バリバリ英語にしにくいバイ!』

在宅ワークになって家にいる時間が増えたからか、最近買ったSwitchで妻がどうぶつの森に夢中になっているからか、読書をする時間が増えているのは大変よい。

今日もサラッと読める新書を一冊読んだ。


著者のアン・クレシーニ氏はアメリカ出身のネイティブスピーカーだが、日本在住が長く九州の大学で英語を教えている方だ。
日本語を理解しているネイティブスピーカー教える英語というのは信頼が置ける。日本語の細かいニュアンスをわかってくれるからである。
日本語を言語として理解しているだけでなく、文化や背景までを理解していて、さらに英語が母語で深く知っているからこそ、ニュアンスまで理解して訳せるのだ。
彼女のTEDトークを見てみたのだが、単純に言葉だけを理解しているのではないとよく分かる。日本語で12分なのでぜひ見てみてほしい。


日本語で一言で表せるけど、英語で対応する言葉がない

こういうことを言いたい!というのを英語に直すとき、直訳で訳してしまうと全然意味が伝わらなかったり、全然違う意味になったりすることがある。


日本語にしかない言葉、というのがある。例えば本書で挙げられている「木漏れ日」なんかがそうだ。
英語にこれにあたる言葉はない。

Sunlight filtering through the trees

と説明するとあるが、これはまさに定義であり言葉ではない。



また文脈によって変わる言葉がある。「微妙」がそれに当たる。これは一言では表わせない。微妙に違う、と言いたければ

slightly different

とか

There is a subtle difference

と言えるが、「これは微妙な味だ」というのは難しい。本書では

This pizza is interesting

という英語が使えると言っているが、私もよくこういうニュアンスでinterestingを使う。しかし、日本にいた頃だと「なんで微妙が『興味深い』になるの!?」となってただろう。
日常で使っていくうちに、細かいニュアンスとかを感じるようになる。



他には「懐かしい」も挙げられてる。これも難しい。懐かしさという感情はノスタルジーだが、「あの時あそこに旅行行ったよね~懐かしいね~」みたいなのは

It brings back memories.

で色々思い出せるわ~みたいな感じである。
私はよく

It reminds me of A

Aを思い出すわ~みたいな使い方をする。


本書は上のように、英語にしにくい日本語を分解して近い英語を提案してくれる本である。

日本語特有の言葉、「絆」や「きつい」などから、「なくなくない?」「ガチろう」なんていう若者言葉までカバーされている。

言いたいことを外国語で伝えられないのは母国語で深く考えてないから

これから留学を考えている人なんかは、一読しておくと役立つことがあるのではないだろうか。
外国語を学ぶときは、その意味をというのを頭で理解しようとする。多分意味のない言葉とか習慣で使う言葉も意味を理解しようとするのである。
なぜなら、外国語になれないうちは、文章を分解して、言葉の意味を理解してから訳して再構成して文章を作るプロセスが頭の中で働くからである。日本語で友達に「それまじでヤバタニエン」*1というのは良いが、英語で同級生に言いたかったらヤバタニエンがどういう意味か、文脈においてどういう意味を成すかを考えないといけないのである。

たとえば、コンビニの店員からポイントカードを持っているか聞かれて、持ってないと答えると「恐れ入ります」と言われる。たしかに謝罪の言葉だが、そこまで我々日本人は意味を考えない。しかし、著者はその本意を「余計な質問をして申し訳ございません。お客様がポイントカードをお持ちかどうか確認する必要がございましたので」と考える。そのうえで、I'm sorryではなく、アメリカならばわかりましたよと返すのでOh OK!と訳すのである。

良い例ではないかもしれないが、カナダの留学時代に、"Hey, how are you doing man!"と何をいうにも『メ~ン』をつけて話す同級生がいた。英語に苦しんでいた私は、彼にそのmanってなんなのか?と聞いてみたら、数秒考えた後、

I don't know, メ~ン

と言われてしまった。
母国語って意外と深く考えずに使っているし、だからこそ母国語なのだ。

海外に住んでしばらくは、周りの言ってることが聞き取れないストレスがきつい。しかし、なれて来たところで次に待っているのは言いたいことが伝えられないストレスだ。
まず日本語で何気なく話している意味を、深く考え直して再構成するプロセスを経るのは私も経験した。そういう意味で、英語を話したい人には一読の価値ある本だと思う。



本書はどちらかというと口語というか、話し言葉がメインだ。日本語を理解しているネイティブスピーカーの本で、書き言葉について詳しく知りたければ「日本人の英語」シリーズがおすすめだ。
日本人が日本語が母語であるがゆえに犯しがちなライティングにおけるミスとどう書けばいいかが解説されている。

日本人の英語 (岩波新書)

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続・日本人の英語 (岩波新書)

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実践 日本人の英語 (岩波新書)

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*1:もうすでに死語か?